普段身に着けている金属(ジュエリー)や日用品に使われている金属が、汗や体液でわずかながら溶けて、イオン化した金属が体内に入り、次に同じ金属が接触すると拒絶反応を起こし、皮膚がかぶれる状態(アレルギー性接触皮膚炎)をいいます。一番起こりやすい状態はピアスを初めて着けるときです。指輪は表皮の厚い指にしますので、金属は表皮に阻まれ 体内に入りにくいのですが、ピアスは皮膚を貫いて皮下組織に直接金属が接するため、拒絶反応を起こしやすいのです。
金属アレルギー自体は治療出来ない?
身体に異物が認識され、次回の侵入を防ぐために記憶されることを感作と言います。
一度感作されると、金属アレルギーは一生と言っていいぐらい長い間持続し、金属アレルギー自体は治療することが出来ません。皮膚には本来あってはならない物質の侵入を拒否し、また細菌が入ってこない 免疫反応を起こさせる働きがあります。そこで感作されるときわめて少量の原因物質(アレルギーを起こす金属)と接触するたびに皮膚炎を起こします。通常は6~48時間の間に反応しますが、時には数日後ということもあります。
金属アレルギーを引き起こす要因は?
金属アレルギーは、誰でもかかるというわけではございません。身に着けた金属と着けている人の条件でかかります。まず 金属ですが、溶け出しやすい金属かどうかということです。
ニッケルやコバルトなどの低品度とされる金属ほど起こりやすいとされています。
着けている人の条件では、まずその金属に触れる頻度があります。最初の接触により感作が起こる場合もありますが、何回も接触を繰り返しているうちに、例えば数十年間にわたって感作されることもあります。
次にその金属に触れる条件があります。
例えば 汗をかくことの多い夏に身に着ければ、発症しやすくなります。
これは 汗は酸性で、金属は酸に弱いため、金属が溶けるからです。
この点からいえば、冬は皮膚炎になりにくく、金属アレルギーと汗の密接な関係を知ることが出来ます。
その他、着ける人の体質、例えば汗をかきやすい人、かきにくい人、角質層の厚い人、薄い人とさまざまな要因が組み合わさって、アレルギーが引き起こされます。
アレルギーの原因となる金属
私たちが日常接する金属の数はきわめて多く、1種類の金属だけで作られているものはほとんど見当たりません。家庭用品の多くは色合いをよくし耐腐食性をもたらせるために、メッキというかたちで多種金属の表面加工がされてます。またジュエリーであっても純金属そのままのものは少なく、多くは合金を用い、あるいはその上にメッキ加工を行っています。
どんな金属でもアレルギーを起こす可能性をもっています。
金属アレルギーを起こしやすい金属
ニッケル
女性のアレルギー性接触皮膚炎の原因の第1位です。アクセサリーには金メッキ仕上げが行われることが多く、これらの下地にはニッケルメッキがよく利用されています。金メッキが傷ついたり、摩耗した場合は
下地に使用したニッケルが溶け出す場合もあります。
コバルト
ニッケルと近縁にある金属でニッケルと同じ反応をしめします。
クロム
時計の皮バンドやゴルフの革手袋、アレルギー性皮膚炎を起こす場合があります。これは皮製品をなめす過程で、6価クロムを使用することがあり、ニッケル皮膚炎と同様に、汗のおおい部分や特別にそれと摩擦が多い部分に限って、湿疹を出すことがあります。
金属アレルギーがある場合のおすすめのジュエリーリフォーム
金がダメとかシルバーアクセサリーはかぶれるという方がいますが、金、プラチナ、銀などは、その地金そのものだけでは、金属アレルギーの心配はあまりありません。ジュエリーで問題があるのは、割金の中に含まれるニッケルや銅やなどの合金が原因である場合が、ほとんどです。
たとえば、14金ホワイトゴールドでは、金の部分が58.5%で、割金として銀17~26%前後+亜鉛0.5~7.5%前後、そして、ニッケルが10~17%前後使用されているタイプがございます。こうなると、ニッケルアレルギーの方は、発症する可能性があります。
18金のイエローゴールドでも割金として、銅が使われていますので、銅アレルギーの方は、要注意です。
したがって、消去法で、比較的金属アレルギーが少ないといえるものは、(純金あるいは、純銀のジュエリーパーツは、ほとんどないので)プラチナのジュエリーと言えると思います。プラチナのジュエリーは、90%(Pt900)あるいは85%(Pt850)の高品位となっていて、割金の割合が少ないのが特徴です。
ちなみに、金属アレルギーになりにくい素材として、チタンと言われますが
当店では、チタンのピアスポストはありますが、他のジュエリーパーツは、
ほとんどないのが現状です。
ちなみに、金そのものでの金属アレルギーは心配はあまりないと上述しましたが、水銀アレルギーがあると構造が似ているため金でアレルギーを起こす可能性は強くなります。
いずれにしても、気になる方は、一度皮膚科で金属アレルギーのバッチテストを行って、何に反応するのか確認されてはいかがでしょうか。